債務整理入門(2)

アダジオ法律事務所

046-828-6960

〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町2-72 森コーポ2階

受付時間:9時30分~17時30分 ※時間外対応可 定休日:土日祝

lv

債務整理入門(2)

ブログ

2018/01/26 債務整理入門(2)

前回から地味に期間が空いてしまいましたが,債務整理入門の続きです。

前回は,任意整理について説明しましたが,今回は法的整理のお話です。

 

 

まず,法的整理は,大きく分けると2つに分けられます。

1つは,民事再生(個人再生)であり,もう1つは破産です。

今日は,この中の個人再生について解説することにします。

 

 

個人再生とは,民事再生法13章の「小規模個人再生及び給与所得者党再生に関する特則」の適用を受ける再生手続のことであり,裁判上の債務整理手続です。

大きな特徴としては,破産が債務者の財産を清算することに主眼を置いているのに対し(清算型),個人再生では債務の一部の支払いを続けることによって,それ以上の財産の清算はしないという点にあります(再建型)。

 

このように,民事再生は,必要以上の財産の清算を行わなくてもよい点,破産というネガティブなイメージがそこまで存在しない点,借入れを行った以上ある程度の返済は行いたいという心情に沿うという点などから,近年多くの注目を集めています。

 

しかし,経済的に考えれば,ある程度の返済が必要とされる個人再生に比べ,原則として債務の返済を行う必要のない破産の方が生活再建が容易であり,私自身も基本的には破産手続を勧めています。

そのため,法的整理については,「原則→破産,例外→個人再生」という発想を持つべきだと言えます。

それでは,個人再生を選ぶべき例外的な事情とは,どのような事情なのでしょうか。

 

 

第一に,破産が認定や要録の取消事由になっている職業の方は,破産手続を選択することが困難であるといえます。

代表的な職業としては,警備員や生命保険の外交員などが挙げられます。

また,会社の取締役になっている人なども,破産手続開始決定が委任の終了事由にあたりますので,破産を選択すべきではないと考えられます。

 

第二に,住宅を処分したくない人の場合です。

破産手続でも全く方法がないわけではありませんが,確実に住宅を保持できる保証はありません。

この点,個人再生では,住宅ローンの支払いを続けながら圧縮した他の債務を返済するという方法をとることができます(住宅資金特別条項)。

実際にこの条項を使う際には,様々な要件が定められているものの,生活基盤である自宅を手放すことなく債務整理ができる方法として,個人再生申立件数の3分の1から4分の1程度利用されているといわれています。

 

第三に,免責不許可事由があって,裁量免責も期待できない場合です。

破産には,それを行うと免責が認められないという「免責不許可事由」が定められており,これに該当する方も一定程度いらっしゃいます。

また,免責不許可事由が認められても,別途裁量免責という制度が存在しますが,免責不許可事由の内容があまりにも重度である場合は,裁量免責すら認められないことがあります。

この点,個人再生では,「免責不許可事由」にあたる規定が存在しないため,このような観点から個人再生を選択すべき場合が考えられます。

 

 

個人再生では,弁済額について再生計画案を策定した上で,裁判所が同計画案を認可すると計画案通りに弁済がスタートするという内容になっています。

計画弁済期間は,原則として3年間とされていますが,「特別の事情」があれば,5年間まで伸ばすことができます。「特別の事情」については,一概に説明することが難しいのですが,簡単に言えば「3年間だと返済は困難でも5年間なら返済できる」という事情だといえるでしょう。

 

弁済額は,最低弁済基準額や清算価値保障原則によって決定されるため,具体的な基準を示すことが難しいのですが,概ね債務額の5分の1の金額を3年間で支払えるのであれば,個人再生の申立を検討できるのではないでしょうか。

 

 

上記のような事情が認められず,また月々の返済も困難である場合には,破産手続を選択することになるのですが,それはまたの機会にいたしましょう。

 

 

アダジオ法律事務所

電話番号:046-828-6960
住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町2-72 森コーポ2階
営業時間:9時30分~17時30分 ※時間外対応可
定休日:土日祝

TOP